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今後の金融政策はどうなるか。

2023.3.20

日銀総裁が4月に黒田東彦(はるひこ)氏から植田和男氏に10年ぶりに交代します。それによって金融政策がどのように変わるか、それは誰もが知りたいことです。

結論から言えば、植田氏は金融緩和継続で行くでしょう。一方、その副作用にも目配りするバランス感覚も持っています。

それを象徴する話として、2000年8月、当時の速水優総裁が官邸や財務省の反対を押し切って、ゼロ金利解除に踏み切った際、その決議で審議委員だった植田氏が反対票を投じたという事件があります。

この結末は、速水総裁が約半年後に量的緩和を導入したことで、植田氏の勝利となります。

これが、当時官房副長官だった安倍晋三元首相が日銀不信を強めるきっかけとなり、その後はリフレ(リフレーション。デフレーションから抜け出たが、本格的なインフレーションには達していない状態のこと。日本語では通貨再膨張とも訳される)派が結集してアベノミクスを打ち出す流れとなりました。

アベノミクスはいまも安倍元首相のレガシー(遺産)であり、安倍派の世耕弘成参院幹事長は「白川(方明)総裁時代に金融緩和をかたくなにおこなわなかったのが、日本が深刻なデフレに陥った最大の原因だ」と批判しています。

これらから、植田新総裁がドラスティックな方向展開は行わないと結論づけてもいいと考えています。

(3/20、日経「核心」原田亮介氏の記事を編集、加筆)