老舗のうなぎ屋「なかや」。私が幼少の頃は、すずらん通りにあり、かれこれ、60年近く通っています。現在は創業者のお孫さんが経営されていて、若者らしく実にうまくマーケティングされています。
うなぎ屋というと、ビールを飲んで、うな重を食べるところというイメージがあり、これによって、①酒を飲み続けるところではない、②おなかがいっぱいになってしまうのですぐ帰る、③重い食事なので、時々でいい、とあまり儲からないイメージがあります。
これにうなぎの高騰が重なり、都内では店を閉めるところを散見します。
これに対してなかやは、
① うなぎのつまみを充実
うなぎというのは捨てるところがないと言われるくらい。しかし処理が手間だそうで、つまみを充実させるところは多くありません。これに対してなかやは、にこごりやうまき、うざくの定番に加えて、くりからやひれといった串ものも用意しました。白焼きも大きさを3つそろえ、ちょっとでも食べられます。これをつまみにすると日本酒が進むこと、進むこと。
② 一品料理も充実
焼き鳥や柳川といった、うなぎ屋にありがちな料理もそろえています。それだけでなく、いわゆる珍味、酒盗やイカ肝のしょうゆ漬け、梅水晶などもあります。わさび漬け、たこわさ、シラスおろしといった居酒屋メニューまである。一度、うなぎを取らずにこれだを楽しみたくなるほどのバリエーションです。
③ 酒も充実
うなぎ屋の客単価は酒で決まります。ゆえにビールから日本酒、焼酎、ワインの品ぞろえも重要。ビールはサッポロもの(黒ラベル、エビス)、焼酎はなんと伊佐美を700円で出してます。日本酒は大信州がメイン。3種類の純米吟醸があります。お燗は剣菱。これは昭和の燗好きなら定番でしょう。ワインも白はソーヴィニヨン、赤はピノ。それなりのワインと言えます。
④ コースもある
4500円、6500円、8000円の3つのコースがあり、8000円のコースの内訳は、コースお通し
鰻前菜
お刺身
鰻串(3串)
茶碗蒸し
うまき
柳川鍋
うな重、新香、肝吸い
と充実。+2000円で飲み放題にもできます。
営業も効率を重視し、土日祝日はお休み。ランチは14時まで、夜は17時から21時までとなっています。出版クラブの一階にありますので、その需要にも関係あるのでしょう。
これだけのメニューをそろえるのは大変ですが、営業時間を絞り、酒を飲ませることで客単価をあげ、売り上げをあげる工夫はとても賢いと思います。