⑥製品ピラミッド利益モデル
低価格から高価格までラインナップを作り、競合に参入させないというもの。これにより、低価格帯で競合の参入を防ぎ、高価格帯で利益を取れる。
例えばバービー人形。安いものから、数百ドルするくらいのものまで揃えてラインナップを作ることで、競合の参入を阻止する。日本でいうと、キティがそれにあたるのだろうか。
その他、カードもそう。普通のカード、ゴールドカード、プラチナカード、ブラックカードとあがっていく。ガソリンもレギュラー、プレミアムがある。
私が最近考えているのは、フランチャイズでこれを行っていく垂直FCシステムというもの。FCというシステムは同じ店舗を複数持つこと(A=B=C)が普通となっている。
例えば吉野家というFCをはじめたとしたら、同じような吉野家の店舗を4つ、5つと展開していくのが今までのFCだった。
しかし、同じ店を何店舗ももっていると飽きてくる。それならば、これをA<B<Cとヒエラルキーをつけてはどうか。AをクリアできたものがB、BをクリアできたものがCとあがっていく仕組みにする。
例えば普通の吉野家、ゴールド吉野家、プラチナ吉野家とわけて、普通の吉野家の売り上げをクリアできるとゴールド吉野家になれる。このゴールド吉野家は単価が高い。プラチナ吉野家はもっと単価が高い。
そのように垂直統合していったほうが、フランチャイズをやる人間がマズローの欲求段階説のように進歩していきたいと思うようになるのではないか。
⑦利益増殖モデル
同一の資産から異なる商品・サービスを展開して収益を拡大するモデル。
ディズニーが有名である。最初はコミックではじまり、アニメになって、ディズニーランドになっていった。ミッキーマウスというキャラクターがどんどん形を変えてお金を儲けている。
ホンダもいい例だろう。もともとは自転車用補助エンジンからはじまった企業だ。
そのエンジンがオートバイに利用され、乗用車に利用され、さらには、F1にまで進出した。優れたエンジンがどんどん発展して収益をもたらしたのだ。
実は私自身も同じことをやってきている。私はもともとプランナーであったが、企画書を雑誌で特集してもらうことになった。
そして、それが書籍になり、書籍を出版したことによって講演と研修の依頼がくるようになった。
さらにそこからコンサルティングの依頼も来るようになった。これは最初の企画書が→雑誌→書籍→講演・研修→コンサルと形を変えていったというわけだ。
また最近では、日経新聞と組んでやっているメルマガから講演→書籍→法人研修&コンサルという、御社でやっているような流れが増えてきた。
ここですごく重要なのは1つのものを1つで終わらせないということ。1つのものを、形を変えられないかと考えていくことが重要である。
いうなれば、最初に作ったものを「横」にどんどん発展させて行き、収益を拡大していくものなのだと理解していただきたい。
⑧マルチコンポーネント利益モデル
高収益のコンポーネント(構成要素)に焦点を当てて、収益を拡大するモデル。
生産システムや販売システムにおいて、まったく利益特性の異なる複数の構成要素)を持つビジネスがある。例えば、飲料やPC、家電、自動車など。
例えば飲料だと、スーパーやレストラン、ホテル、自動販売機で売値が異なる。儲けるためには、レストランやホテルで売りたいが、そのためには圧倒的なブランド力が必要。そのために、利益は薄くてもスーパーや自動販売機でも展開しなければならない。
つまり、低利益のチャネルで市場シェアを獲得し、それを持ってブランド力を高める一方、高利益のチャネルで収益性を高めるのだ。
例えばPCだったら、本体を売ることで大きな利益が出なくても、オプションや付属品、ファイナンシングで利益を出す。
自動車なら、本体だけでなく、保険やファイナンシング、各種サービスで利益を出す。
家電なら、本体だけでなく、メンテナンスやサービス契約で利益を出す。などなど。
つまり、すべてのコンポーネントを押さえることで、最も利益の出るところを極大化しようという収益モデルなのである。
⑨価値連鎖ポジション利益モデル
バリュー・チェーンの中のポイントを制覇して、収益を最大化するモデル。
ビジネスには、利益やパワー、コントロールという観点から、他に比べて何十倍も重要な場所があり、それがビジネス全体をコントロールするポイントとなる。ここを押さえると利益が最大化する。
このポイントは、はじめから決められているものではなく、相対的な付加価値や希少性の創出、ボトルネックの発見とコントロール、顧客とのコネクションなどから予測する。
PCのバリュー・チェーンはたくさんあるが、その中のCPU→インテル、ソフト→マイクロソフトを押さえた2社が大きな利益をあげた。
ポイントを制することで、自分の手でビジネスのペースを決定できる一方、バリュー・チェーンに乗り遅れた他社は受身の反応となり、対応が一歩遅れる。
グーグルは、マイクロソフトとインテルに先駆けて、webサービスを制覇。これにより、収益を最大化した。またコカ・コーラは他社に先駆けて、自動販売機を制覇。これにより、収益を最大化した。
グーグルの形態向けソフト「アンドロイド」の無料配布も、ポイントを押さえることになる可能性は高い。世の中の流れがPCから携帯に向かっているのは明らか。
とすれば、携帯からのWebサービスを押さえれば、ここがポイントとなり、利益は最大化するはずである。
⑩デファクト・スタンダード利益モデル
デファクト・スタンダードを押さえて、自社のビジネスプランで業界をリードするモデル。
国際標準(ISOやIECなど)や国家標準(JISやBSなど)のような公的な標準をデジュリ(de jure)・スタンダードと呼ぶのに対して、事実上のスタンダードのことを「デファクト(de facto)スタンダード」という。
顧客、競争相手、流通チャネル等の市場プレーヤーたちを活用し、スタンダードを創造することが成功パターンである。これをネットワーク外部性の実現という。
業界標準のビジネスデザインを持つ企業は、大きな生産量や販売量、価格設定の柔軟性、アップグレードから利益を得るチャンスを有する。
ここで必要なのはスピード。デジュリよりもデファクトを志向する大きな理由は、スピードの速さにある。デジュリで保護されるのを待っていては競合に遅れてしまうからである。
最近では例えば、FeliCa=定期券、電子マネー、おサイフケータイのスタンダードを実現し、収益を最大化している。
またグーグルのアンドロイドも、携帯電話用のプラットフォームと業界団体の設立を図り、業界をリードして収益を最大化するつもりだろう。
デファクトスタンダードビジネスの最大の特徴は、規模に応じて収益が増加することにある。これが実現すれば、OEMやアプリケーション開発者、ユーザーまでも吸引することができる。
全盛期のマイクロソフトを考えていただければいい。