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イトーヨーカ堂大量閉店から考える

2023.3.27

かつて一世を風靡したイトーヨーカ堂が、店舗数を3割近く削減するなどのリストラ策を発表しました。2025年度には店舗数はピークの約半分の93店舗に減り、祖業のアパレル事業からも撤退するそうです。

その成功要因と失敗要因を検討することから、御院の経営に生かしてください。

◆成功要因

・イトーヨーカ堂が小売業界で優等生と言われてきたのは、成長力はもちろん、時代変化への対応が優れていたからです。

・一方成長が鈍化すると、1982年に業務改革委員会を立ち上げて、迅速に経営体質改善に動いきました。

・これは小売業界の指針にもなり、こうした経営姿勢で98年度にセブンイレブンを含む連結営業収益で業界トップに立ち、日本最大の小売業に成長しました。

つまりは、いい時は環境変化に機敏に対応できていました。

◆失敗要因

・2000年代からは衣料品や雑貨、食品など総合型スーパーが消費ニーズからずれ、縮小の一途をたどります。デフレ化で低価格・高品質のユニクロやニトリに顧客が流れました。

・しかし成長事業のセブンイレブンを抱えていましたので、危機感が高まりませんでした。また期待していた百貨店のそごう・西武との相乗効果も発揮できませんでした。

・日本的な雇用慣行に加え、グループとしては高収益企業であり、結局小出しのリストラを長く続けることになりました。問題先送りの施策では最終的に株主にも従業員にも将来の可能性を示せませんでした。

つまりは、消費者ニーズを充足できず、競合に顧客が流れていたのにも関わらず、抜本的な対策が打てないことが問題でした。

歯科業界も例えばDXにおいて激変しています。それに機敏に対応するとともに、もし必要なら抜本的に経営戦略を変える英断が必要でしょう。イトーヨーカ堂を反面教師に、ぜひ御院に照らして考えてみてください。

(3/27 日経社説を編集、加筆)